RMS02:ロマンチカ・クロニカ 2

RMS02:ロマンチカ・クロニカ 2

2009〜2017年の秘封倶楽部小説総集編。

  • 頒布:2018/05/06 第十五回博麗神社例大祭
  • 装丁:B6サイズ/226ページ
  • イベント会場価格:1500円
  • 書店委託:メロンブックス専売

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彼女たちの今までの軌跡。
そして、これからの行く先。

ロマンチックメロウによる、2009〜2017年の秘封倶楽部小説総集編。

蓮子とメリーが物語る2つの掌編を追加で書き下ろし。


「想う夢の世界」(書き下ろし)

「誤解を招くようなナレーションはやめてちょうだい。だいいち、誰に向かってのナレーションなのよ」
「あながち間違いじゃないでしょ、メリー。それに、回りに相手がいなくとも、私達の活動に興味がある人間が不思議な力で聞いてるかもしれないじゃない」
私がにやっとしながらいうと、メリーは同じようにくすりと口の端を緩めつつも、呆れたような顔をして私を見てくる。
「そんな力持ってる人間、そういないわよ」
「メリーみたいな気持ち悪い眼を持った人間とか?」
「蓮子みたいに気持ち悪い眼を持った人間とかも?」
暗がりで顔を寄せて、私達は笑いあう。


「ダブルグッドバイ」

「そう、夜に徘徊する不良サークルよ。なんて悪い子達なのかしら」
隣のメリーが蓮子の横腹をつついてくる。
蓮子はくるりと身を翻して、メリーの頬をつつき返す。
猫のじゃれ合いみたいに、窓際できゃあきゃあと騒ぐ。
ご近所迷惑になるなんて考えは一切なかった。
そこまで騒がしくはしていないはず。それにこうやって仲良くするのも、交流の一環なのだ。
男子は女子が手を繋いで歩いている気持ちがわからないかも知れないけど、二人はお互いの気持ちが他よりも少しだけわかっているつもりだ。……たぶん。


「PRAYER×PLAYER」

そもそも、秘封倶楽部とはなんだった?
『秘封倶楽部』は宇佐見蓮子の一人のサークル?

――ふたりで、ひとつ。
オカルトサークル、秘封倶楽部。
これは誰かの言葉だ。
……ふたり?
秘封倶楽部は一人のサークルなのに?
ひとりきりのサークル、のはず、なのに。


「ワールドエンドガールズ」

楽園は外界から離して時が経つほど、元の世界とはどんどん相容れなくなる。私はそう思っている。
「怪物さえいなければ、ずっと夢の世界に住んでしまってもいいかもしれないわね」
彼女の視線は空を突き抜け、遥か先。明るい日中では見えない月と同じ距離、人には気軽に行くことの出来ない場所を描いているのだろう。
「本当にそう思ってるの、蓮子」
「嘘よ、現実と幻想を行き来するからいいんだって」


「ディスプリズム」

トリフネから帰ってきたあと、かすり傷をずっと気にしていたメリーのことを私は知っている。彼女がそれを自覚していなかったとしても、メリーがとうに治った傷があった場所を指でなぞっていたのは、その恐れからだ、と私は思っている。
茶目っ気を振りまき、私の素っ頓狂な会話に付き合いながら、メリーは自分の能力を重く思っているのかもしれない。そう気付いた頃から、私はメリーを自分の家に呼ぶようになった。それ以上の関係に進んだのも、そのせいだということにしておく。


「忘る現の世界」(書き下ろし)

「これで何度目? メリー」
「三回目かな。運が悪いわ」
私の相方、宇佐見蓮子の妙な能力は、月と星が出ていないと全く使い物にならないから、曇りだしたのが調査を終えた後で安心した。
「ねえ、蓮子。昔の格言で『赤信号みんなで渡れば怖くない』っていうのがあるらしいわよ」
私が教えてあげると、蓮子は疑るように私を細目でじっと見て、口を尖らせた。
「絶対に格言じゃないでしょ。どこのデータベースから引っ張ってきたんだか」